行政文書管理アカデミー ―行政文書管理のエキスパートを養成―

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学長あいさつ


学長 原田三朗

仕事をしながら学べる行政文書管理のスキル

行政文書管理アカデミーは,特定非営利活動法人(NPO)行政文書管理改善機構(ADMiC)が運営する公務員を対象とした研修機関で、全国の自治体や国の行政機関や独立行政法人、国立大学法人など公的機関に在職する公務員や職員に,行政文書管理の専門知識と最新の技法を習得する機会を提供しています。日常の業務と受講を両立できるように,インターネットによる教材提供と合宿による集中授業を軸として毎年5月から翌年2月までの間に講義と実習を行います。カリキュラムは,12科目で合計100時間強の標準学習時間で構成され、全科目の履修満了者に履修後の口頭試問を経て、修了証書とともに民間資格である「行政文書管理士」の称号を付与します。

行政文書の作成やその管理は、公務員の日常的な業務ですが、この業務を支える行政文書管理システムは、行政の効率的な運営や効果的な政策形成の基盤です。この観点からADMiCは日本の行政改革の一環として、欧米で発達したフォルダ式のファイリング・システムを進歩させたAKF(行政ナレッジファイリング)の普及を進めています。6年前に施行された公文書管理法の行政文書管理ガイドラインも、このAKFをベースとしています。行政文書管理アカデミーは、受講者がAKFの技法を習得することを目標としています。

わが国の行政風土の中では,行政の文書主義が軽視されたこともあり,専門的な知識と技法,経験を有する人材が乏しいのが現状です。必要文書の廃棄や不必要文書の保管あるいは保存文書の検索不能などの混乱が各地に起きています。紙文書と電子文書の融合を基礎とする行政文書管理システムの構築も進みません。

行政文書管理アカデミーは,このような現状を,専門的人材の育成を通じて改善しようとする現職公務員のための教育・研修機関として平成19年に発足しました。本年度受講者は第11期生になります。

 公文書管理法は国の機関と独立行政法人を対象とした法制ですが、自治体にもそれに倣う努力義務が課されています。しかし,法律が作られたからと行って,それだけですべての行政機関に適正な文書管理が実現するわけではありません。国も自治体も,公文書管理法や類似する行政文書管理条例が要求する文書管理システムを構築し,それを運用するには,文書管理のスキルを身につけた職員が必要です。行政文書管理アカデミーは、行政の現場でそのような職員を効率的に育成することを目的としています。講師には文書管理に関する大学などの研究者にとどまらず、専門教育を受けた現職の行政機関幹部も含め10数人が協力しています。

行政文書管理士に期待されるもの

行政文書管理アカデミーの修了者は,行政文書管理の専門的なスキルを保有しているという証(あかし)に行政文書管理士の称号を付与され,行政文書管理士会のメンバーになる資格があります。行政文書管理士には,どのような職場に所属していても,文書管理システムの改革からAKFの導入や維持管理・自主管理,他の職員への支援,など多様な役割が期待されます。文書管理の理論,技法,制度等は,急速に進化していますが,行政文書管理アカデミーを修了したあとも,行政文書管理士は,必要に応じて行政文書管理士会を通じて,最新の知見を得ることができます。

さらに,所属機関内で文書管理の改善等に行政文書管理士の専門能力を求められるときは,行政文書管理士会の同僚からの多様な情報を得ることができるばかりでなく,行政文書管理アカデミーの講師たちの支援を受けることが可能です。

文書管理は情報の管理です。「文書」という漢字から「文章が書かれた紙」と誤解してはいけません。紙は人類の長い経験から,保存性や記録、閲覧,伝達の簡便性が実証された優れた情報の媒体(メディア)ですが,重要なものはそこに登載された行政情報なのです。しかも行政情報は,権力の源泉です。施政者は情報の独占によって権力を保持できるからです。

民主主義国家における適正な行政文書管理の目的は,行政情報を主権者である国民/市民が共有することです。一部の行政官が情報を独占して政策を構築することが,長期的に見て不適切な政策の選択に陥りやすいことは,歴史が示すところです。

また、適切な政策の形成と執行には,行政機関内部での情報の共有が前提となります。そのためには,幹部をはじめ職員全体の意識改革が必要ですが,それだけでは適正な行政文書管理は実現しません。適切なシステムを構築し,運用する人材が配置されることによって,収集した情報を管理し,必要な情報を必要な場合に,最適の条件で活用することが可能になるのです。

行政文書管理アカデミーのカリキュラムは,文書のライフサイクルの各段階での実務と理論にくわえ,集合研修による徹底的な実務演習などで構成されています。行政文書管理に関する研究成果を生かすと同時に実務中心で直ちに現場に生かせる研修を実現しています。この機会に,全国の市町村に暮らす人びと,あるいは国民や県民のためにも,多くの志ある公務員の皆さんが受講されることを望みます。